鼎談
ディレクター・ゲストアーティストによる鼎談を公開しました。(2023.04.20.)
RAU2022鼎談|流れ続ける思考と試行。「探求」する集団の次なる形とはディレクター・ゲストアーティストによる鼎談を公開しました。(2023.04.20.)
RAU2022鼎談|流れ続ける思考と試行。「探求」する集団の次なる形とは2020年からスタートした『都市と芸術の応答体』の試みを、2022年も継続していきます。
私たちの生きる都市は、家族像の変化、経済危機、移民、多国籍化、都心への一極集中、市街地の空洞化、大災害、パンデミックなど、その様相は21世紀に入り変化しつづけています。社会を拘束する文脈が大きく、強く、速くなりつづけていて、都市とは何なのかをとらえることすら簡単ではありません。
そのような都市に生まれる芸術とはどのようなものでしょうか。私たちはここで芸術を、美術館や劇場のなかにあるものだけではなく、人を触発する形を制作する技術とその技術の産物として広く捉えてみたいと思います。
都市を深く観察し、応答し、あるいは都市の存在の基底に触れるような知的探求を通じて、都市そのものを深く理解し、芸術を為す感覚を拡張していくような地点にたどり着きたいと考えています。
そのために私たちは『都市と芸術の応答体』という場を立ち上げました。
この場では、私たちに気づきを与えてくれるゲストアーティストたちとの深い対話を軸に、都市と芸術に関わる新しい論点を探っていきます。集団的なリサーチを行うかもしれませんし、実験的なアートプロジェクトをつくることになるかもしれません。
1年目は「土木と詩」というコンセプトを議論の中から生み出し、都市を映像で捉えていく理論と方法を構築していきました。2年目は、「土地と身体」というコンセプトから、都市を映像とテキストで捉えていく理論と方法を探っていきました。3年目の今年は集大成として今までの言葉に「ロードムービー」という言葉を加えて、土地の持つ物語を立ち上げる方法を試行していきたいと考えています。
引き続き多様な専門性のバックグラウンドの方の参加を期待します。
本プロジェクトでは、オンラインという状況を活かし、世界の多様な場所から参加ができる場としたいと考えています。互いの対話から、言葉を鍛え、眼を鍛え、さまざまな芸術の制作実験をしていく、集団的試行の場、学びの共同体を引き続き育てあげていきたいと思います。
藤原徹平・平倉圭
プレスリリース横浜国立大学は、都市空間に創造的に応答していく視点を持ったアートマネジメント人材育成プログラム「都市と芸術の応答体2022」を、5月にスタートします。
文化庁「令和4年度大学における文化芸術推進事業」の採択を受け運営する本事業は、3年目を迎えました。
今年度のテーマは「土木と詩/土地と身体/ロードムービー」です。
土地、身体と、都市と芸術についてこれまで思考してきましたが、「ロードムービー」という言葉を加えて、移動を通じた時間と空間の経験から、都市に生まれる芸術について思考します。試作を通じて相互の応答が連なる議論や、1年目2年目を受け継いで思考することなど、RAUという学びの集団のあり方も踏まえたテーマです。
今年度のテーマを深めるために、都市における活動に対してユニークな視座と技術を持った複数のゲスト講師を招き、新たな芸術のあり方を検討します。メンバーは、レクチャーを通じて各人の日常生活の活動や場に対する新しい視点を獲得し、作品の企画制作を行います。
映画監督・三宅唱氏の指導のもと「物語としての土地」というキーワードを設定し映像撮影・演出・編集のワークショップを行います。
ワークショップは、各地から参加するメンバーがそれぞれの周囲に広がる土地で制作し、オンラインのミーティングでそのときどきの試作を持ち寄ります。
土地の事物や人に対して行う演出や、土地そのものが人に対してもたらす演出的な効果を観察・思考しながら物語の可能性を検討します。土地の持つ多層性と、その上での活動を総体として捉える芸術の方法論を議論し、実践します。
活動②において制作された映像作品を基点に、思考を深めるためのワークショップや空間的に作品を展開する試行を、オンラインとオンサイトが複合した形式で行います。成果発表の展示ではなく、作品創造のプロセスをメンバー内に開く機会として設定しています。一年間のプログラム構成の中で、中頃となる9月を予定。
活動①から③を行った上で、そのプロセス及び作品を介した応答的なやり取りの起きる場「RAU試」そのものを発表します。
芸術に転換された都市活動をめぐる議論や思考を、作品やシンポジウムなど複合的な形で発表することで、本事業が一貫して問うてきた「都市と芸術」の応答を、公に開き、同時代のさまざまな実践者に開いていきます。
5/11から、プログラム終了時まで隔週水曜日の19:00 – 21:00が活動日です。
下記スケジュールの詳細や、変更がある場合は、メンバー向けの連絡ツールにて随時告知致します。
※5、6月のスケジュールは下記です。
5/11、5/18、5/25、6/8、6/22
建築家
1975年横浜生まれ。横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。フジワラテッペイアーキテクツラボ主宰。一般社団法人ドリフターズインターナショナル理事。
横浜国立大学大学院修士課程修了。建築や都市のデザイン、芸術と都市の関係を研究・実践している。主な作品に「クルックフィールズ」、「那須塩原市まちなか交流センター」、「京都市立芸術大学移転設計」、「ヨコハマトリエンナーレ2017会場デザイン」、「リボーンアートフェイスティバル2017会場デザイン」など。受賞に横浜文化賞 文化・芸術奨励賞 日本建築学会作品選集新人賞など。
芸術学研究者(近現代美術、パフォーマンス、映画)
芸術学(近現代美術、パフォーマンス、映画)
1977年横浜生まれ。横浜国立大学大学院Y-GSC准教授。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。芸術の制作プロセスにはたらく物体化された思考を研究している。最近は絵画論と動物論。著書に『かたちは思考する―芸術制作の分析(東京大学出版会、2019年)、『ゴダール的方法』(インスクリプト、第二回表象文化論学会賞受賞)、『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』(共著、フィルムアート社)ほか。作品に《テキスト、山、準-部分》、《彫刻術としてのダンス》(神村恵・津田道子との共同制作)ほか。
映画監督
1984年北海道生まれ。一橋大学社会学部卒業、映画美学校フィクションコース初等科修了。主な長編映画に『ワイルドツアー』(19)、『きみの鳥はうたえる』(18)など。最新作は『ケイコ 目を澄ませて』(22)。他に鈴木了二との共同監督作『物質試行58:A RETURN OF BRUNO TAUT 2016』(16)やビデオインスタレーション作品として「ワールドツアー」(18/山口情報芸術センター[YCAM]との共作)、「July 32,Sapporo Park」(19/札幌文化芸術交流センターSCARTSとの共作)などを発表している。
【都市と芸術の応答体2022に向けて】
テーマである「土木と詩/土地と身体/ロードムービー」を通じて考えたいことや、活動の展望をディレクターの藤原徹平、平倉圭がトークします。
チャット機能を用いて、視聴者の方からの質疑にも随時お答えいたします。
昨年度の活動の最後に開催したオンラインイベント「RAU試2021-2022 坂の物語」のアーカイブ映像を公開致します。
2021年度の活動を振り返りながら深める「坂の物語」というテーマでメンバーがつくった試作を囲んで議論を行い、そのミーティングの様子を配信したものです。
2022/2/19 ミーティング1:招待状への応答ビューイング&ディスカッション
2022/2/23 ミーティング2:レクチャー&ディスカッション
2022/2/27 ミーティング3:再制作を受けてレビュー&ディスカッション
また2020年度、2021年度のアーカイブは下記ホームページよりご覧ください。
RAU2020「土木と詩」
RAU2021「土地と身体」